りんりんふぇす 2014 LIVE REVIEW





りんりんふぇす - みんなちがって みんないい 2014年12月7日
出演 Gotch, 三輪二郎, あだち麗三郎クワルテッット, ソケリッサ, 新倉壮朗, 寺尾紗穂

「わたしの大切な人は片手の無い人 全力で抱きしめる人」。

厳かな、しかし凛としたよく通る声でそう歌われたら、そりゃびっくりする。親子連れが多く子どもの声も伴奏になる雰囲気のなか、ピアノ弾き語るは寺尾紗穂、彼女が主催する『りんりんふぇす』の一場面だ。



外苑前の駅を出てすぐ、都会のど真ん中にひっそり佇む寺院『梅窓院』で毎年行われるこのイベントは、ホームレスを支援する雑誌ビッグイッシュ―が配布され、社会的弱者、マイノリティーのための様々な団体が集まり、それらを繋ぐ場となっている。他にあだち麗三郎クワルテッット、三輪二郎といった東京インディー・シーンを代表するミュージシャンが一部で出演した後、座談会を挟んだ二部での、このイベントならではの人選も素晴らしかった。

毎年出演するソケリッサは路上生活者と元路上生活者による、年齢も背格好もバラバラな男性4人のダンス・チーム。ほとんど台詞は無い、小道具もない。しかしそのアクロバティックな演技から「幼い頃の夢、万能感、成長と共に訪れる様々な苦悩、挫折、叫び、それでもまた信じる、守り続けたいもの、他者へ伝えたいこと、働くこと、生きること」。そういったイメージが強烈に迫ってきた。

続くはダウン症のミュージシャン新倉壮朗 (タケオ)。ピアノ演奏からアフリカの太鼓ジャンベに移り、持ち時間を超過してなお続く即興演奏は観客を総立ちにさせた。アドリブだろうか、タンバリンを振って演奏に加わったASIAN KUNG-FU GENERATIONのギター/ヴォーカルGotchは「音楽には本来ここで終わりなんてない。CDの収録時間とか、経済的理由で決められてるだけで、やりたいだけやればいい」と次の自らの出番で嬉しそうに語った。

最後は再び寺尾紗穂がピアノを弾いて、出演者全員でムッシュかまやつ「どうにかなるさ」をセッション。軽やかにステップを踏むソケリッサ、演奏者、そして来場者も含めて、年齢も出自も立場も違う三百人が、それぞれ異なる、すばらしい笑顔を浮かべていた。


ki-ft【ライヴレビュー】りんりんふぇす2014