白痴 REVIEW

少しのズレも許されない社会は異端が排除され画一化され、あらゆることに利便性が重んじられた末に恐竜のように肥大化したった一つの災害で滅ぶかもしれない。だからまともな社会は常に一定数の異端を内包する。今の環境には適応できなくとも新たな環境で力を発揮する数%のできそこないを。


白痴とは重度の知的障害を指す言葉であり、公共電波における自主規制の対象である。どのような文脈で用いられているかは考慮されないことが多い。

ドストエフスキーの長編小説『白痴』において、てんかんを患い知的障害のある主人公は決して否定的には描かれていない。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』の主要人物たちも社会のルールに適合できないという意味ではある種「白痴的存在」として描かれている。より重要なのは、彼らはいずれも硬直し衰退しつつある社会に変革をもたらす可能性を秘めた存在であることだ。

ドストエフスキーはてんかん発作に生涯悩まされ、その前兆(アウラ)がインスピレーションの源となったという。28歳時のシベリア流刑も、彼の描く主人公に深い影を落としている。ジョイ・ディヴィジョンのイアン・カーティスも似た経歴を持つ。障害者のための職業紹介所で働き、まるで自分自身のことであるかのように彼らに親身に接した。彼は後にてんかんを発症し、肥大するバンドの名声の狭間で揺れ動いた。

こういった文脈で用いても白痴という言葉はこの国の電波では放送されないだろう。そんなことはいい。とにかく九州に白痴というバンドがいる。 


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