Exitpost"Nami"INTERVIEW

「これまでにも三味線、琴の音を取り入れたりしたけど、新作のサンプリング素材は日本のレコード、TVや映画、フィールド・レコーディングに限定した。日本に居る雰囲気を捕えようとしたんだ」


ニューヨーク在住の日米ハーフの青年Herman Kennethは語る。彼のソロプロジェクトExitpostの音楽はダンサブルでアップリフティング。でも、どこかメランコリーでノスタルジックなフォークトロニカだ。2016年3月に母親の名を冠した『Nami』EP(フォトブック+DL)を発表。パーソナルな雰囲気と親しみやすさが同居するサウンドに仕上がった。

彼は幼少期を母の生まれた東京で過ごした後に親子でニューヨークへ。その後もたびたび来日し、2015年の夏から秋にかけて東京や京都に滞在。新作を録音した。大学の同級生Bay Keeが歌う1曲に加えて、大阪在住の女性シンガー、プロデューサーunmoが2曲で素晴らしい歌を披露している。

「これはラブソングなんだ。でも特定の誰かについてじゃない。ベーシック・トラックと一緒に、東京で過ごした夜やそこで出会った人々についての歌詞を伝えて、彼女からヴォーカルをもらった。一緒にアレンジを考えて、ニューヨークに戻ってから完成させた」

ネットでたまたま出会った彼女を気に入ってコラボレートを申し出たという。「彼女の曲で泣いた。イノセントな響き、物憂げでドリーミー、控えめで静かだけど力強い。Sigur Rosのようなエレクトロニカ」と評する。

彼はRadioheadやFour Tet、Flying Lotus、Shigetoの音楽を愛し、The booksに影響されサンプリングで音楽を作り始めた。

「分断されたビートはヒップホップやエレクトロ・ミュージックだけのものじゃない。The booksはそう教えてくれた。彼らは超エモーショナル」

本作はそのThe booksのNick zammutoにマスタリングを依頼した。長い手紙を送って快諾を得たという。ちなみに日本のエレクトロ・バンドD.A.N.もThe booksからの影響を公言している。

「僕は主にLogic Proで作曲してる。適切な音をサンプリングするために時間を費やす。スランプになったら、サンプリングかギター・ラインを思いつくまで映画でも観る。今回はシンガーとコラボ、だからトラックは骨格、コード進行だけ。ヴォーカルをつけたら、曲自身が自然にできていった。一貫した作品にしたかったから、なるべく早く取り組んだ。最初のひらめきが大切なんだ。Young thugは「Stoner」という曲を10分で仕上げたらしいよ」

Exitpost6
彼は日本の音楽を愛し、特にFlauレーベルのCokiyu 、Submerse 、Cuusheのファンだという。今回のEPはライヴ演奏を意識して作った。ツアー、来日もしたいという。
彼の音楽は日本とアメリカを結ぶ架け橋の一つになるかもしれない。そう思わせる彼の発言を最後に引用する。

「ハーフであることで子供の頃いじめられたことがある。けれど、Exitpostとしてエレクトロ・ミュージックを作ることで、自らの出自を受け入れ日本を愛することができるようになったんだ」



文中の発言はGold Flake PointSmoothie Tunesのインタビューから引用した。
彼のデジタルEP/フォトブックはこちらからオーダーできる。





本作製作時に影響を受けた音楽 by Exitpost

Stay Home by Submerse
– Night time music: listened to a lot while wandering Tokyo at night by myself.
(夜の音楽。東京の夜を一人で彷徨っているときにたくさん聴いた)

パプリカ オリジナルサウンドトラック by 平沢進
(Paprika Original Soundtrack by Susumu Hirawasa)
– Beautiful textures, cinematic music. Playful!
(美しいテクスチャー。遊び心があるサントラ)

Butterfly Case by Cuushe
– Cuushe was a big influence on my newest work. Her albums are bass-heavy and dance-y, but also delicate and thought provoking.
(Cuusheにすごい影響を受けた。彼女の作品は低音がしっかりしていて踊りやすい。しかも繊細でイメージを喚起するんだ)

There is Love in You by Four Tet
– Four Tet made me want to make electronic music. I first listened to this album a lot in 2012 in Japan and I revisited it in 2015.
(フォー・テットを聴いてエレクトロ・ミュージックを作りたくなったんだよ。2012年に始めて聴いてはまった。2015年に良さを再確認した)

Kidsuke by Kidkanevil & Daisuke Tanabe
– Twinkly and layered – fun & sad.
(キラキラしたレイヤーが積み重なって、楽しいけど哀しい)

Spiritual State by Nujabes
– Never listened to a lot before. Fell in love this summer – gorgeous and nostalgic.
(前はそんなに聴いてなかった。この夏に恋に落ちたんだ。ゴージャスでノスタルジック)

How could you believe me when I said I loved you when you know I’ve been a liar all my life by Celer
– Heartbreaking ambient music.
(傷心のアンビエント)

Take Care by Drake
– Drake understands dumb misunderstandings and heartbreak better than most singers.
(大抵のシンガーよりもドレイクは分かってるんだ。うまく話せないこと、誤解されること、傷心などについて)

No Better Time Than Now by Shigeto
– Shigeto is half-Japanese, like me. His textures/acoustic sounds made me want to make quieter, slower music rather than just dance music.
(シゲトは僕と同じ日本人とのハーフ。彼の耳ざわりのいいアコースティックサウンドを聴くと、ダンスミュージックよりも静かでスロウな曲を書きたくなる)



日本の皆さんへのメッセージ

Indiegrab ありがとう。
日本が大好きなので、今年の夏もまた来日したいです。
コンサートで沢山演奏したいし、君たちにもあいたいです。

Ken