以下は海外メディアbeehypeでおこなったレミ街インタビューの日本語ヴァージョンです。
佐古奈々花(MV監督)
「ふとやってきた優しさを、手を伸ばして掴もうとしたら、プチッとはじけて形が無くなってしまった。最初に聴いたときに抱いたそんな感覚と、歌詞からのイメージを大切に制作しました」。
荒木正比呂(コンポーザー、キーボード奏者)
色々試してきて、 注目したのはフォーク・ギターでした。
質感とリズムと歴史がその1本に含まれていて、少ない音数で成立するし、僕の好きなビートとの相性ともよい。
深めにしたビートと深谷彩のコケティッシュな歌との相性が面白い事も分かって来ました。
歌のメロディーも動きすぎてビートから剥離しない事、歌詞もギリギリまで色味を落とす事がバランス上重要でした。
だいたい僕は階段状のメロディーが好きで、例えば「ドレレ レミミ ミミファ ファソソ」、みたいに前のフレーズのお尻をひっかけながら登って行くような「記号的」なフレーズをよく使うのですが、「記号的」な音階というのはビートとの相性がよいです。
「週末に家を洗う」、「君のために魚を買いにいく」という歌詞の瞬間も、僕にとって末端的な話題、つまり「記号的」な事柄です。だからその言葉が乗るビートも、なるべく普遍的な、ベーシックな音色を好みます。
魚を湯煎して灰汁を取り除いて下ごしらえするように、要素どうしの色味をギリギリまで落としてミックスやバランス面を強調する事で、やっと自分の好きなポップ・ミュージックが現れてきました。
後半は前半部分のそういったバランス地獄から解放されて、いかにも邦楽の象徴的なメロディーをぶつけました。ここは深谷彩の意見がもとになっています。
偶然性は大切で、無防備に人の意見を取り入れたり、色んな曲の断片をサンプリングして、自分だけでは作れないものや予想できない事を常に追いかけて、新鮮な気持ちを保っています。
今まで色々試してきて、ビートの上にただ歌謡曲がのっているランチ・プレートになりがちだったけど、最近になってようやく理想のバランスが見えてきました。」
深谷彩(シンガー)
影響をうけたミュージシャン、芸術家
「うたもの全般ですが、シティポップ、AOR、国内だと思春期によく聴いたACOなんかは影響受けたと思います。
映画も子どもの頃両親に勧められた作品や、その劇中の音楽は影響が大きかったと思います。
久石譲が担当している、大林宣彦「ふたり」 、北野武「あの夏、いちばん静かな海」 など、いまだに好きです。」
CATCHについて
「『TDWD』直前に荒木さんが新曲を作ろう!とネタを持ってきて(こんな忙しい時期に正気か?!と思いました)前半部分をトラック含め何度もリピートしていた記憶があります。
注 TDWD=THE DANCE WE DO(2015年4月18日開催のホール・コンサート)
後半にやはり何かひっかかりのあるメロディを持ってこようという話になり、「たまには~」の部分をなんとなく歌ってみたら、ぐっとくる感じになりました。
この時は2人して「!!!」となったと思っています。少なくとも私は。CATCHはそれ以来だいすきな曲です。
音源はあくまでもパッケージングされたもの。ライブで歌うことによってCATCH以外もですが、曲が「生きものになる」という感覚です。善くも悪くも、「わたし」の「今」がダイレクトにでるなあと。
前作まではパーソナルな部分を出す事に抵抗がありました。自分自身でがんじがらめになっていたものを解放したら、こんなに歌うのが楽しいのだとやっとわかりました。肯定する、受容する、私には大掛かりな作業であり、わりと勇気のいることでした。
私は母親になったことはありませんが、作品を産み出した、というか立ち会い出産みたいな感覚がありました(笑)。こうなってほしいなとか願いとか関係なしに子どもって育つと思うんですけど、「こういう曲になって!」とか私の意図から外れたものが、でもめっちゃ面白くて単純にいい曲になった、みたいな。こんな体験は初めてでした。」
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Remigai(レミ街) |
佐古奈々花(MV監督)
「ふとやってきた優しさを、手を伸ばして掴もうとしたら、プチッとはじけて形が無くなってしまった。最初に聴いたときに抱いたそんな感覚と、歌詞からのイメージを大切に制作しました」。
荒木正比呂(コンポーザー、キーボード奏者)
色々試してきて、 注目したのはフォーク・ギターでした。
質感とリズムと歴史がその1本に含まれていて、少ない音数で成立するし、僕の好きなビートとの相性ともよい。
深めにしたビートと深谷彩のコケティッシュな歌との相性が面白い事も分かって来ました。
歌のメロディーも動きすぎてビートから剥離しない事、歌詞もギリギリまで色味を落とす事がバランス上重要でした。
だいたい僕は階段状のメロディーが好きで、例えば「ドレレ レミミ ミミファ ファソソ」、みたいに前のフレーズのお尻をひっかけながら登って行くような「記号的」なフレーズをよく使うのですが、「記号的」な音階というのはビートとの相性がよいです。
「週末に家を洗う」、「君のために魚を買いにいく」という歌詞の瞬間も、僕にとって末端的な話題、つまり「記号的」な事柄です。だからその言葉が乗るビートも、なるべく普遍的な、ベーシックな音色を好みます。
魚を湯煎して灰汁を取り除いて下ごしらえするように、要素どうしの色味をギリギリまで落としてミックスやバランス面を強調する事で、やっと自分の好きなポップ・ミュージックが現れてきました。
後半は前半部分のそういったバランス地獄から解放されて、いかにも邦楽の象徴的なメロディーをぶつけました。ここは深谷彩の意見がもとになっています。
偶然性は大切で、無防備に人の意見を取り入れたり、色んな曲の断片をサンプリングして、自分だけでは作れないものや予想できない事を常に追いかけて、新鮮な気持ちを保っています。
今まで色々試してきて、ビートの上にただ歌謡曲がのっているランチ・プレートになりがちだったけど、最近になってようやく理想のバランスが見えてきました。」
深谷彩(シンガー)
影響をうけたミュージシャン、芸術家
「うたもの全般ですが、シティポップ、AOR、国内だと思春期によく聴いたACOなんかは影響受けたと思います。
映画も子どもの頃両親に勧められた作品や、その劇中の音楽は影響が大きかったと思います。
久石譲が担当している、大林宣彦「ふたり」 、北野武「あの夏、いちばん静かな海」 など、いまだに好きです。」
CATCHについて
「『TDWD』直前に荒木さんが新曲を作ろう!とネタを持ってきて(こんな忙しい時期に正気か?!と思いました)前半部分をトラック含め何度もリピートしていた記憶があります。
注 TDWD=THE DANCE WE DO(2015年4月18日開催のホール・コンサート)
後半にやはり何かひっかかりのあるメロディを持ってこようという話になり、「たまには~」の部分をなんとなく歌ってみたら、ぐっとくる感じになりました。
この時は2人して「!!!」となったと思っています。少なくとも私は。CATCHはそれ以来だいすきな曲です。
音源はあくまでもパッケージングされたもの。ライブで歌うことによってCATCH以外もですが、曲が「生きものになる」という感覚です。善くも悪くも、「わたし」の「今」がダイレクトにでるなあと。
前作まではパーソナルな部分を出す事に抵抗がありました。自分自身でがんじがらめになっていたものを解放したら、こんなに歌うのが楽しいのだとやっとわかりました。肯定する、受容する、私には大掛かりな作業であり、わりと勇気のいることでした。
私は母親になったことはありませんが、作品を産み出した、というか立ち会い出産みたいな感覚がありました(笑)。こうなってほしいなとか願いとか関係なしに子どもって育つと思うんですけど、「こういう曲になって!」とか私の意図から外れたものが、でもめっちゃ面白くて単純にいい曲になった、みたいな。こんな体験は初めてでした。」