個人的2014年ベスト・アルバム / JAPAN


1. 前野健太『LIVE with SOAPLANDERS 2013-2014』 

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ジム・オルークによるプロデュース、ソープランダーズの鉄壁のバックアップを得て、彼は日本の伝統的な歌謡曲を再定義した。壊して生かす。彼独自の身体感覚、言葉選び、リズムで捉えなおす。





2. OGRE YOU ASSHOLE『ペーパークラフト』 

LISTEN(3時間27分頃からライヴ)
  
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3. くるり『THE PIER』 

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4. 坂本慎太郎『ナマで踊ろう(Let’s Dance Raw)』 

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5. 三輪二郎『Ⅲ』 

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「このアルバムは現代の日本で生きる二郎青年のために、個性、世代もバラバラな者達が集まり強烈な化学反応がおきた、最近では最もブルージーなうたのロックアルバムだ。」
by 三輪二郎


6. COET COCOEH『GLASS COLLAGE』  

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坂本龍一がロバート・ワイアットに歌わせようと作曲したかのような「ガラスのピアノ」。ドゥーワップ要素を感じさせる、懐かしいあの声が聴こえてきそうな「ルーリードに花束を」。内面を見つめるシューゲイザー・サウンド「WHISPER」、彼女流のインディーR&B「PAST-FUTURE」。もちろんエレクトロ・ファンクの要素もあちこちに散りばめられ、まるで彼女の部屋の宝石箱を密かに覗き見た気分にさせられる。

(注 会場限定発売 一般発売は2015年予定)



7. 吉田ヨウヘイgroup『Smart Citizen』 

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クラシックの素養を持つメンバーが居ながらも、定型を崩すことで自由を獲得していったカンは後にPILやレディオヘッドを始め多くのUKポスト・パンク、オルタナティヴに影響を与えた。しかし吉田ヨウヘイはロック以外の音楽からの影響を取り入れがらも、実はポップソングの制限の中で作っている。

吉田ヨウヘイgroupは日本のDirty Projectorsで、Sufjan Stevensの管が入ったバンドだと形容される。リーダーの吉田は大友良英ニュー・ジャズ・クインテットの影響でサックスを始めた。ギタリストの感性でサックスを使い、新しいものを探求する。

  「このバンドでは、歌もののロック、ギターが中心になって作られてきたポップス(仮にギターが入ってなかったとしても、そういう質感のもの)にこだわって音楽を作ろうと思っています。歌があるとか、分かりやすいメロディーがあるとか、サビがあるとか、ある程度の短さであるとか、そういった普通の形式は守って、その中で最大限自由を獲得することを目指しています。音楽をインストにするとか、プログレッシヴで複雑にするという方向もあると思うんですが、音楽をそのように変化させて作ることは進化ではなく全く別の作業だと思っています。
  『Smart Citizen』も、これから作る作品でも、ある程度普通の形式のものにこだわって、その中で光るような素材をいろいろな音楽から探すというつもりで作ると思います。まっさらなところから新しいものを目指すというより、更新していくことを目指すといったほうが自分の感覚には近いです。そしてそれを聴いた人が、新しいものだと感じてくれたら嬉しいなと思っています。」
by吉田ヨウヘイ


8. CRUNCH『ふとした日常のこと』 

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CRUNCHの音楽性は決して多くの人に受け入れられるようなものではないかもしれない。ネオ・アコースティック、ニュー・ウェイブの文脈が浮かび上がる楽曲の底流には60年代以降のブルース、ファンク、エレクトロニカ等の確かな血脈を感じさせる。



9. ミツメ『ささやき』 

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10. ROTH BART BARON『ロットバルトバロンの氷河期 (ROTH BART BARON'S “The Ice Age")』

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「春と灰」という曲の歌詞で《この間おきた戦争で》という下りがあります。そこから私は村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』を思い出しました。作中で主人公の無意識を代弁する存在である羊男はベトナム戦争から逃れるために密室に潜んでいます。戦争は終わったと聞いても「どうせまた始まる。知らないだけでずっと続いているんだ。人間は心底では殺し合うのが好きなんだ。そういうのが嫌だったら別の世界に逃げるしかないんだよ」という内容を語り頑なです。三船さんとお話していて、似たフィーリングを感じました。彼の感性は村上春樹と同じでちっぽけな島国に縛られていないし、同時に我々のルーツも深く見つめている。だからリスナーに対しても誠実な作品になる。
by森豊和

「僕らの住んでいる東京ではあまりにも”西洋化”と”安っぽい形だけの日本らしさ”に囲まれていて”自分が生まれた場所、国の音楽”というものをとても見失いやすくなっていると感じることがあります。
過去の日本の作曲家たちは、積極的に海外からの音楽を日本のものとブレンドして素晴らしいものに作り変えようというというスピリットを持っていました。僕らはそのワクワクするようなスピリットが好きでロック・ミュージック、古いフォーク・ソングはもちろんのこと、その魂を持った滝廉太郎や伊福部昭に影響を受けています。
僕たちがこの間リリースしたアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』は日本語で歌う僕らの音楽をアメリカ、フィラデルフィアの街で日本語を話さないアメリカ人のエンジニア達と一緒に作り上げました。
そういった違う人種同士の交差点にはいつだってハプニングが起きますし、いいアイデアをもたらしてくれる。その交差点、接触が僕らをとても楽しくさせるのです。作品を作り上げる体験はとても日常では得がたいものでしたし、アルバムも素晴らしいものになりました。テクノロジーや手法、楽器は西洋のものを使っていますが、おそらく僕たちはまだ誰も見たことのない、深い奥底にある日本の景色を目指しているのかもしれません。
バンドはいつか世界中を演奏して周り、各土地の土着的な音楽と出会いたいと思います。
ロック・ミュージックを通して世界の人々が生きてきた地図のようなものを覗いてみたいのです。」
by 三船雅也

(以上 敬称略)